なんかモチベが消え失せてる

 いきなりですがこのブログ、閲覧数の大半はフリートから飛んできてくれた人が占めてたんだよね。フリートがなくなってから目に見えて訪問者が減ってる。Twitterくんの改悪によって私のブログ執筆のモチベーションは下がってるんです。そうこうしてるうちに今月のリミットが近い。はあ、書くしかないのか……。自分ルールを曲げるのは俺の最も嫌いとするところなのでちゃんと書きますけどね(月頭に書くってルールはどうしたよ)。

探偵AIのリアル・ディープラーニング 早坂吝

 みなさん、ディープラーニングってご存知でしょうか。ざっくり言うと、AIに人間の脳神経回路に似たネットワークを持たせること。これにより、AIはいろんなところからさまざまな知識を吸収して成長することができます。
 例えば、人間さまはぱっと見で猫と犬を見分けることができるけど、従来のAIには難しかった。どちらも四足歩行で頭の上にぴょこんと耳が立っていて顔の横にヒゲが伸びていてしっぽがあってもふもふで……と、それぞれの情報を書き出していったら全く同じですよね。この『言語化された特徴』を頼りにしていた過去のAIには、にゃんことわんこがわからなかった。しかし、写真をもとに『言語化できない特徴』まで理解した新しいAIには、猫と犬を見分けることができるのです。そのために必要なものが、人間の脳に似たシステムだそうです。俺もあんまり詳しくないけどね。そんな前提で記事を書くな。
 で、タイトルにもある通りこの本の主軸はAIのディープラーニングです。ゼロワンゼロワンゼロワンゼロワン……
 AIの学習には、経験が重要です。先ほどの猫と犬の見分けでは、人間によって多数の写真を見せられて学習しました。しかし、AIが己とバトルして、その結果を踏まえて進化するというやり方もあります。これは囲碁ソフトなんかで使われた方法です。囲碁のいろはをディープラーニングした囲碁ソフトは自己対局を繰り返した末に人間のプロ棋士に勝っちゃいました。
 作中に登場するAIは自己対局ではなく、《刑事》AIの相以と《犯人》AIの以相が対決を行い、相互学習で進化しました。開発者は大学教授の合尾創。ある目的のために作られた両者だが、創の死と同時に以相の方が盗まれてしまう。息子合尾輔は残された相以を発見し、ともに父の死の謎を解き明かす。そして、盗んだ以相を悪用する犯罪組織との戦いに身を投じる。そんなミステリーです。
 フレーム問題に始まりシンボルグラウンディング問題、不気味の谷と、一度は聞いたことのあるAI用語がトリックに絡んできます。一応説明しておくと、それぞれ『AIは融通が効かない』『AIは猫と犬を見分けられない』『AIは人間に似すぎるとよくない』というやつですね。シンボルグラウンディング問題は最初に挙げた例のやつです。犯行を計画したのがAIであるため、事件の所々にチグハグさがあります。作中人物も、読者も、人間である限り、そのAI特有の思考によるおかしさが邪魔をして推理ができない。そんなトリックが展開される物語です。
 合尾教授が相以と以相を開発した理由となるとある事件に関する縦軸のストーリーと、各話の単発エピソードが見事に絡み合い、推理小説という古のジャンルとAIという最新テクノロジーが融合した名作です。ぜひご一読ください。