10月のどクソ感想文

毎月最初の週末に書くことにしてたこのブログですが、普通に忘れちゃいましたね。てへぺろ。まあシャベココさん、今日は学校休みだったんで良しとしましょう。今回もネタバレマシマシなのでお気を付けて。毎度のことだけど、紹介する本未読の人はブログ読まない方がいいよ。今月の本はこれです。先月の読書量頭おかしいので滅茶苦茶迷いました。

僕が恋した図書館の幽霊 聖いつき

俺好みの、主人公が不幸にならないタイプのラブストーリーです。幽霊とありますが、死を扱って美談に仕立てあげたものではありません。その点もポイント高い。登場人物の中には不幸になる人も居るけど、そいつはまあ、なるべくしてなったというか、気にしなくていいです。

舞台となる大学には、『図書館に優しい幽霊が居る』という噂があります。図書館にある大きな鏡の中の幽霊。普段は図書館に縁のない主人公の創がある日何の気なしに行ってみると、そこには噂通りの少女が居ました。後に彼女、美琴は幽霊ではないとわかるのですが、創と美琴の図書館での『文通』は暫く続きます。そんなある日、先述の不幸になるべくしてなった人の茶々が入ります。というのが大筋。茶々の件はだいぶ読み進めてからだけどね。

創が所属する放送研究部では、元号の変わり目に合わせて、平成初期の手法でボイスドラマを作ろうということになります。30年前に作られたボイスドラマのテーマも、図書館の幽霊の話。但しこれは悲恋の物語。モデルになったのは、当時の放送研部員たちの三角関係。主人公はこれをハッピーエンドにリメイクしようとします。モデルは自分と幽霊の恋。

美琴にはある秘密があります。『文通』で察した方も居るかもしれませんが(そもそもこのブログ読者居ないのに気づいた人なんて居ないだろ)、聴覚障害です。それに漬け込んで、創に思いを寄せる優花(不幸になるべくしてなった人)は、創と美琴の恋路を邪魔します。優花は結構でっかいビルのオーナーの娘なのですが、そのビルには創の父(弁護士)の事務所があったり、美琴の家がやってるビルメンテナンス会社が契約してたりします。それらをフル活用して巧に邪魔をしてきます。最終的には、父の会社の福祉支援事業と称して、美琴を遠く離れた地に行かせます。創に対しては、美琴の将来を守りたければ大学を出たら父の会社に入れと。優花の中には、『聴覚障害=不幸→創が美琴と一緒にいる=不幸』という考えがありました。当然創がそんなこと思ってるはずもなく、普通に玉砕します。創は美琴を追いかけます。

駅のホーム、線路を挟んだ隣のホームに美琴を見つけます。そこに居て、と手話で想いを伝えますが、いい(悪い)タイミングで電車が。慌てて隣のホームへ行こうとしますが、連絡通路の上から見たホームにはもう美琴の姿は無い。落胆して帰ろうと振り返り……。ここがこの小説の上手いところ。振り返った創の目には、鏡に映る美琴の姿が……!ここで鏡の幽霊設定拾ってくるか!うああああああ!学校で読んでてにやけちゃったよ。マスクしててよかった。

エモいとか尊いとかそんな言葉でしか語れないレベルの破壊力を以て心の臓にダイレクトアタックしてくる強さがこの小説にはあります。実際、動悸早くなりました。いい本でした。